毎朝の電車通勤、あのぎゅうぎゅう詰めの満員電車の中で、まるヤスはいつも同じことを考える。
「…いる。あの『クッチャーノ』がいる。」
『クッチャーノ』とは、まるヤスが密かに付けたあだ名だ。口を閉じずに食事をする同僚、田中だ。まるヤスは彼の前ではにこやかに挨拶するが、心の中では「クッチャーノ」と呼びながらひそかにストレスをため込んでいる。
会社では無難に一日を乗り切るが、帰宅後のまるヤスは別人になる。スーツを脱ぎ捨て、部屋着に着替えると、鏡の前で突然叫ぶ。
「ウオォォォォ!!」
その後、意味不明な踊りを踊り出す。
「ウッ、ウッ、ウエアーー!」
ひとしきり暴れた後、ふと視線を感じて振り返ると、そこには子豚のチャッピーがじっと見つめていた。
「またやったの?まるヤス。」
「チャッピー、違うんだ。これは、発散なんだ…!さっき『クッチャーノ』が…」
「クッチャーノって、また勝手にあだ名つけてるの?それじゃあストレスたまるだけだよ?」
チャッピーは、いつもまるヤスを優しく諭してくれる。今日もその純粋な瞳で、まるヤスの心の奥に染み渡るような言葉をかける。
「まるヤス、ストレス溜まるのはわかるけど、奇声をあげるのはやめた方がいいよ。近所の人、心配しちゃうよ?」
「うう…わかってるよ。でも、あの田中がさ…」
「それなら、明日からはお昼休みに僕と話しなよ。ストレスも少しは軽くなるんじゃない?」
「チャッピー、ありがとう…。って、君は結局お腹が空いてるだけでしょ?」
「まあね。でも、まるヤスが元気でいてくれた方がごはんも美味しくなるんだ!」
そんな二人の日常が、今日も続いていく。
次回予告:「新たなる敵、『パソツヤさん』登場!」次回、まるヤスの前に現れたのは、パソコン画面を必要以上にツヤツヤに拭いている同僚、『パソツヤさん』。果たしてまるヤスは、この新たなあだ名で乗り切れるのか?そして、チャッピーの対策は?
この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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